零霊散の備忘録

平成生まれの30代。最近は競馬ばっかり書いてることに気付いた。

黒執事ⅩⅩⅩ(シリーズ感想/ネタバレ注意)

黒執事Ⅰ~XXX巻までのシリーズ全感想と考察少々

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かしこまReaper♪(リーパー:死)

 

これでも執事DEATH☆みたく死神派遣協会風の挨拶からスタート。コスチュームに目の色もそれっぽく、一応性別♂

 

ネタバレ注意!

 

目次

導入

黒執事

アキバでメイドがフィーバーしている裏で執事の需要が良かった2007年。当時、僕はまだティーンで、確かメイド喫茶で働いていた友達経由で読むようになったのが始まり。メイド作品はどれもこれも徹頭徹尾萌え推しだから、お嬢様主人公で執事はその対になる作品なんだろうって思ってたら全然違う。しかしまあ、10年以上の長期連載だからコミックス第Ⅰ巻は今読み返してみると完全に別作品で、これから読もうとしている人には注釈を入れる必要があるんだけど、ジャンルは英国裏社会のアクション、サスペンス、ミステリー、少しギャグという異色だけど王道。バイオレンスで重くて血生臭いけど、そこが一番の魅力。執事とあるから女性向け感は否めないけど、ミッションインポッシブルだとか007がイケるなら男でもイケる!(なんか意味違って聞こえるな…)

 

それもついにXXX巻、僕の年齢と同じ数字に♪

でもこの先X年は続きそうな予感

終わりが見えそうで全然見えない

単行本の区切りが良いからこの辺で少し整理しつつ考察。ネタバレ注意ね!

 

ざっくり整理

 

Ⅰ                悪魔で執事

Ⅱ               番犬の仕事 死神登場

Ⅲ              切り裂きジャック

Ⅳ              インド植民地

Ⅴ               カリー

Ⅵ              サーカス ノアの箱舟

Ⅶ             誘拐事件 慈善活動 潜入捜査

Ⅷ            過去回想Ⅰ

Ⅸ              密室殺人事件

Ⅹ               推理

Ⅺ              解決

Ⅻ             豪華客船

XⅢ            死者蘇生 動く死体の謎

XⅣ            離脱組 違反者 過去回想Ⅱ

XⅤ             学校潜入捜査 

XⅥ            P4 伝統

XⅦ           紳士のスポーツクリケット

XⅧ          真夜中のお茶会

XⅨ           ドイツ 異国の魔女

XX             魔女の呪い 新型兵器

XⅪ            マスタードガス サリン

XⅫ           戦車

XXⅢ          ミュージックホール キラキラ

XXⅣ          慈善活動 血液供給

XXⅤ           シリウス カノープス ベガ ポラリス

XXⅥ          過去回想Ⅲ

XXⅦ         悪魔契約

XXⅧ        身分剥奪 逃亡

XXⅨ          潜入捜査 美玲藍猫ペア

XXX           美玲過去回想

 

改めて整理をしてみても、コミックス第Ⅰ巻の作風は今と全然違うし、作者も出版社もまさかここまで連載が長期化して話が膨らんでくるとは想像していなかったんじゃないかと思ってしまう。僕はマンガばかりで作者インタビュー記事とかは全くのノータッチだから制作秘話的なものは全然知らないんだけど、改めて読み返してみても伏線やらミスリードやら小ネタが詰まっていて、作りこみの深さに感動を覚える。物語も良いんだけど、同じ作る側だとそっちを気にしてしまうのは職業病みたいなもの

 

シエル・ファントムハイヴ伯爵は何者かに襲撃され両親を殺された。犯人を見つけ復讐する気持ちから悪魔を召喚し、執事として手足として動くように契約し、英国王室裏社会の秩序を守り乱すものを裁く女王の番犬の仕事を継ぐ。女王の番犬という仕事柄、ファントムハイヴ家を目障りと思う人物が多いことから、両親を殺した犯人もその一派である可能性があり、犯人の手がかりが見つかるのを待つ。名探偵コナン的な要素に、ヘルシング的なチート要素を組み合わせた基本設定と言えば分かる人は分かるか?19世紀(1898年)の英国が舞台で、アヘン戦争後の史実に忠実。インド、中国、ドイツ等の国政事情、切り裂きジャックをはじめ、明言はしていないがシャーロックホームズ作者コナン・ドイルを登場させホームズを書くきっかけとなった的なネタを散りばめたり、氷山にぶつかって沈没する豪華客船とか、まるっきりタイタニックネタに動く死体騒動という新しい都市伝説的ネタをぶっこんできたり、時系列的には大戦前だけどドイツがマスタードガスサリン戦車を既に開発していたというミリタリー要素を持ち出したかと思えば、星の名前を使って4つの血液型輸血することで治療に関係する医学要素まで、幅の広いネタの宝庫。本来その時代にはあるはずのない技術や知識が、実は既に裏社会では実験が繰り返されていた的なものは、読んでてゾクゾクするものがある。復讐をテーマにしてるからハッピーエンドはないだろうってのは最初から分かり切ってることだけど、時々ギャグを挟んだり飯テロが入ったりと、重くなり過ぎないよう強弱のバランスも絶妙。とはいえ悲惨であることに変わりは無いし、過去回想Ⅲからずっとシリアスな展開が続いていて重みマシマシの恨み辛め。目先の目的こそハッキリしてるけど、肝心な復讐する相手が誰なのか未だに見当もつかない状況。こういう続きが気になる精神で、何とか今日も生きてます!原・動・力!

 

考察もどき

これまでのⅢつの回想を繋ぎ合わせて、ようやく悪魔召喚からファントムハイヴ家を継ぐまでの全過程が語られたわけだけども、あの時の生存者という点においてはタナカさん視点の回想がまだ未消化。葬儀屋や蘇生したシエル視点回想もありそうだけど、別事情な可能性が高いし、そうなってくると復讐する相手とは違うと想像

作中の時系列で追っていくと根が深いのは、葬儀屋:冥籍番号136649の『ファントムハイヴ家に対する執着』が今のところトップ。シエルを蘇生させ、死んだパパ:ウィンセントやシエル・坊ちゃんの祖母にあたるクローディアまで、付き合いの長さは不明だが約30年と坊ちゃん以上に長い。それを語る上では死神派遣協会員ドイツ支部のルドガー、ザーシャが匂わせるように言ってた“そういう家系”とか、死神という設定そのものをまず知らなければ解けない構図に思える。ミスリードかもしれないけど、死神という役割が第Ⅷ巻で語られているように魂の審査、回収で、皆無に等しいという“リストから除外される例”が何処かであった可能性が有力だろう。また死神は共通して眼鏡をかけているということを考えれば、疑わしい人物は女王の馬丁:ジョン・ブラウン。ドイツでの件を考えればもう隠す気も無く十中八九死神だとは思うけど、現役なのか引退済みなのか離脱組なのかは不明。残り少ない可能性としてはセバスチャン以外の第Ⅱの悪魔とも考えられるけど、期待薄。少なくとも人外であることは間違いない。しかしこの人も史実に登場してるんだよな…。忘れ去られてる設定に暴れん坊伯爵のモデルが実は女王だとか、核心に近いところでギャグ色が強くなると、なんかね。とはいえシリアスを隠すならギャグの中とは、よく言うというか定番だし?

 

僕の考えでは、作中で既に亡くなっているアルバート公の魂回収に派遣された死神ジョン・ブラウン氏。本来ならば同時期に回収するはずだった女王がリストから除外。例外が発生したことでそのまま専属契約…ではないか。と思ってる

 

こんな具合で女王が絡んでくるとなると、この先も史実に沿うことは間違いなく、ドイツで兵器の話も出た通りサラエボ事件から第一次大戦へと繋がっていく道筋に。ここまで来ると世界史の領域。こういうネタが好きだから高校時代は世界史を専攻していたわけだけど、歴史は視点と解釈で成り立ってくるもの。史実と違うからどうこうするものでもないし、並行世界であっても別にいいと思ってる。実際輸血とか兵器開発は既に史実を超えているわけで…

 

総評と結論

正直現状では誰が坊ちゃんの復讐相手であるのかは考察不可能でお手上げ。まだまだ情報不足であることは確実で、この状態での考察は難しいというか、時間がいくらあっても足りないし、妄想が爆発する領域。可能性としては最終的にこの先第Ⅱ、第Ⅲの悪魔と契約している誰かが出てきて、坊ちゃんが誰かから借りてきたか奪ってきたデスサイズ使って復讐を成し遂げてセバスチャンに喰われてメリーバッドエンド…なんじゃないかなぁとか思う。心理学では復讐は何も生まないって言うけど、最っ高に面白いし大好き❤

考察するならもう少しテーマを絞って的を変えた方がいいのかもね。ポラリスやベガは何者?とかとか。現時点では美玲の回想が終わって、残る使用人回想はバルド、フィニ、スネーク。タナカさんも期待していい?フィニはチラッとだけ回想あったけど、ドイツ方面でまだ何かありそうな予感。ウィンセントが長男のシエルにだけこっそり伝えた何かとかもありそうだけど…うーん

当初は坊ちゃんとセバスチャンのペアが復讐する相手を見つけるという点で主役だったのに対し、今ではシエルと葬儀屋のペア、死神派遣協会組、英国女王とかとかの三つ巴、四つ巴の群像劇となって、長く読んできたファンしか受け付けてないカンジに。でもこれは大人気長期連載でシリアス群像劇ならではの証であり、宿命みたいなもので、別に悪いことでは無い。ただまあ、今の重苦しいところを読んで入りにくいのも分かる。だけどそれで、真相が分かってきて最終回近くなってから追いかければいいや〜、っていうのはハラハラ、ドキドキという魅力を潰してしまうことにもなるから、どこか勿体無い気もしてしまう。脳内麻薬垂れ流しのランナーズハイ状態に近い領域だから、得意不得意、好き嫌い分かれるし仕方ない

大人しく連載の続きを待って読みましょう

 

今回はこれで以上

お疲れ様でした