※このブログには天久鷹央の推理カルテ(1)感想、ネタバレ含みます
分類と設定と登場人物と
タイトルにカルテとあるように医療&ミステリーです
医療業界、医療家系に嫌気がさしてる僕には何かの呪いとしか思えないジャンルのチョイス。まあ、推理ことミステリーなので大好物ではありますが、幸い(1)で死人は出ません
舞台は総合病院
表紙の女性、天久鷹央27歳(僕と同い年)が今作の主人公…というかヒロイン。主観になってるのは彼女の部下、小鳥遊優(2つ年上)で巻き込まれポジション
ぶっ飛んでる設定
鷹央先生は病院の理事長の娘にして副医院長。病院の屋上に一軒家(平屋)があってそこに住んでる『座敷童』
小鳥が遊ぶと書いて「たかなし」と呼ぶ小鳥遊は、鷹が上司であるからと「ことり」と呼ばれ、『統括診断部』に所属
その『統括診断部』は診断困難な患者が行くところ、とされているが、要するに特命係みたいな、そんなイメージ
表紙のイラストをいとうのいぢ先生が描いてるということもあってSOS団を想像し、ハルヒとキョンのイメージで読んでしまったのが失敗した。気持ち間違ってはいないかもしれないけど、固定概念というものは恐ろしい
大雑把な紹介と内容
作中には医療関連の情報が多い
患者の状態、検査結果、使用している薬の名前など、皮肉にも「あー、あれかぁ」と思うものが出てくる。一応薬学部を卒業してるわけで、薬の一般名には敏感だし、病態生理学は勉強したからね
残念なことに作中に薬剤師は不在
総合病院なのに、医療モノじゃ空気じゃん薬剤師
まあ、変な仕事増えるの嫌だから空気で良いね
『原因不明の症状』とか言われながらも、その患者が薬の副作用、中毒症状、過剰摂取等が原因だと鷹央先生は診断
うわぁ、薬剤師の仕事無いじゃん
ラクでいいなぁ
てゆーか、逆に大丈夫なのかこの病院?
注目すべきは、患者の診断から行動を予測するところ
医療用語等は重要だけど、そこはあくまで飾りで、物語の本分はミステリーだ。それはそれで仕事放棄してる気もするけどな
表向きの診断名に裏の診断名、毒の調査
ミスリードもする
ミステリーの醍醐味ですね
病院の経営事情の話も出てきたり
嫌だよねぇ、医療過誤で訴えられたり
犯人はお前だ!
ってセリフはないけど、代わりに診断名で締める
まさかミュンヒハウゼンが出てくるとは思わなかった
医療に触れてなければ病気なんて、風邪とかインフルとか花粉症とか、鼻炎とかその程度のものだと思う。最近は健康番組のおかげ、もとい原因で高血圧やら糖尿病やら心筋梗塞やら、見ていて不安になり、敏感にもなっていて、極端な医療知識を持ってる人も少なくないけど、それが次の問題にもなる。薬は使い方を間違えれば毒になるし、栄養価の高い食材でも食べ過ぎたら毒。フツーに使えば問題ないから、何が原因かを探したところで検査しても出てこない
それでも検査結果に異常値として出るものもあるから、おそらくコレが原因なんだろうなと想像することは出来るけど、個人差ってもので隠れる可能性もあるから断定できるかと言われると厳しいのが現実
まさか栄養ドリンクだったりサプリが原因で容体が急変するかもなんて、想像しない人が多いはず
病院では真っ先にチェックして除外するから普通は急変なんてことはない。だけど、“犯人”が意図して容体が急変するものにすり替えていた、なんて想像しだしたらキリがないし、仮にそうだったとしても急変すると知らない方が普通だから、問い詰めたところで誤魔化されるのがフツーであり現実
だけど…
≪意図していれば≫証拠は出てくるわけで
そこから代理ミュンヒハウゼン症候群を出してきたのは流石だと感嘆しました。副作用までは見抜けたけど、そこまでは見抜けなかった。病名は知ってたけど、なるほど、思い返せば、読み返してみればそんな言動に描写があるな
原因を探ることなら知識さえあれば誰でも出来るけど、診断するのは医者の仕事だからね
感想(総評)
医療学んでて医療嫌いだけど、病気しているヒロインに対して可哀想可哀想と思うことを感動なんて思えない僕としては、ミステリーと扱ってくれることで終始ニヤニヤできる作品で良かった。ただ医療ドラマとはまた全然違うから、好みが分かれる作品でもあると思う。カッコイイオペシーンを魅せる作品ではないし、ある意味医療業界の地味な部分にスポットを当てた具合。そんな医療の地味代表が薬学だから、僕は少し共感したとも言える
さてさて、
この推理カルテはシリーズものらしい
Ⅱを買って読まねば
医療モノはドラマにばっかりなるけど
アニメにしてもいいんじゃないかな?
べ、別にいとうのいぢキャラだからとかそういうんじゃないんだから、勘違いしないでよねっ!!