零霊散の備忘録

平成生まれの30代。最近は競馬ばっかり書いてることに気付いた。

君に恋をするなんて、ありえないはずだった 感想

※感想とネタバレ

君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)

君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業 (宝島社文庫)

僕がこの本を読むなんて、ありえないはずだった

読み終えて知った
あ、コレ続く作品なのか
しかもそれ、今月出るのか

ってことで読破感想
ネタバレ注意

上巻


普段なら文庫本一冊程度、忙しいながらも時間を見つけて、ものの数日で読み終えてしまうのを一週間以上かかってしまったのは、タイトル通りこれが恋愛ものだからだろう
恋愛ものは正直苦手
にもかかわらずこの本を手にしたのは友人からのススメ

たまには違う路線で入ってみるのもいいなと思った冒険心を尊重するが、読むスピードはまるで参考書に近いレベルで難解。読めない漢字があるわけでも、入り込めない設定であるわけでもないけれど、こと恋愛ものに関しては、ましてや青春真っ盛りの高校三年生を軸に進む物語では、かき氷を慌てて食べて頭痛がするみたく、変な抵抗が出てしまう。それだけ恋愛ものは向いてない。かき氷は嫌いじゃないけど、アイスクリームの方が好き

恋愛ものが向いてないからと言って、なにもこの作品が悪いわけではない。単に僕の感覚が世間一般の感覚、いわば共感というものからかけ離れているからだろう。実際、高校生活は男の園で過ごしたわけで、女子生徒と肩を並べて、なんて生活をしなかった自分には縁のない世界。それでいて、別に憧れたりもしなかった世界

主人公は2人
地味系男子と派手系女子

男の方はガチヲタを親友にしているため、周囲からは当然お前も同類なんだろうという目で見られており、大人数で誰かと交流しないタイプ。それ故に勝手なイメージで判断され、それが交流する機会を失ってしまう原因になる。しかし、それが自分にとって何か損をしているわけでもないという認識であるため、自分からイメージを変えようと判断するには至らない。まさに地味系
まあ、僕も人のこと言えないが、面倒臭くなくていいよね

派手系ガールは文字通り派手。化粧とかオシャレに気を使う程度で派手と言っていいのかどうかも怪しいが、交流関係が広く、女子にも男子にも人気がある。発言力もあり、中心になりやすい存在。その一方で男子からモテ、余計な嫉妬を買ってしまったり、誤解を招いてしまうこともある

地味と派手
お互いにコイツとは絶対仲良くなれそうにないな、と思っている2人が、あることをきっかけに喋る機会が生まれ、交流が生まれ、意識していくストーリー

眼鏡とアクセ?で段落分けされており、眼鏡の回は男目線、アクセの回は女性目線と分けられているから読みやすいと言えば読みやすい

ガチヲタの友人にヲタ趣味のアニメ声彼女が出来たことから行き場を失い、ぼっちになっていたところに話が進み始める。個人的なことを言えば主人公2人よりガチヲタの方が気になるんだが、そこは薄い本を書くなりして補完しよう

①借りてたものを返しに自宅に来る
 まあ、学校内よりはいいのかもね
②名前の読みを確認する
 特に下の名前は意識しないと分からないよね
③チーム分けでどっちに所属しているか聞く
 応援しに来いというコミュ力・・・


派手系ガールの中学時代の親友が地味系男子と好きなアーティストが同じということで盛り上がり始め、派手系ガールは疎外感を受ける。これをジェラシーというのだろうか。親友とクラスメイトがCDの貸し借りで会うというだけでデートと言う扱いをしながらも、付き合う付き合わないかどうかで気になり始める

気になるところも多少は理解できる
彼氏彼女が居るか居ないかでは遠慮やら配慮やらが必要になるわけで、地味系男子がガチヲタの親友と距離を置いたのもガチヲタの親友に彼女が出来たからであり、誰と誰が付き合っているかどうかというのはデリケートな問題だ

親友に彼氏が出来た
親友に彼女が出来た
応援してあげたいけれど、自分との時間が少なくなる悲しさ。気軽に遊びに誘えないし、2人の時間を奪うなどという野暮な真似はしたくない。しかし、この場合は違う。まだクラスメイトで、ただの話し相手だけれど、誰かに取られるのは正直惜しいと思う衝動

これを恋というのだろうか
束縛するのも束縛されるのも嫌いだから、恋心が何なのかを理解するのに時間がかかった。男と女が2人っきりになっているからって、何でもかんでも恋愛に絡めたがるほど自分は幼稚ではない。重要なのは当事者がどう思っているかであり、意識の確認が必要とだけ

週に一度
予備校帰りの駅のホーム
いつの間にかここで電車を待ち、一緒に帰って話をするのが定番になり始める。時間を約束したわけでもなく、ただの偶然。偶然に偶然を重ねていれば、もはや約束だけど、それを事務的に確認したくないというのが、この2人の距離感なのだろう。特に約束をしてるわけじゃないんだから、会えなくても、先に帰っても文句はない

けど気になる
ついつい探してしまう

だったら携帯で連絡でもしろよ
と思うが、地味系男子は携帯を持っていない
今時珍しい高校生

しかしまあ、こうも頻繁に会って話したりするのなら、携帯の一つでも持ってなければと意識し始めると同時に、派手系ガールに対する意識も高まってくる

文化祭で思わぬイベントも発生し、
2人の関係に嫉妬し始める人も出てくる

噂は噂
それでも広がれば、2人の関係性について聞いてみたくなるのが集団の意識。あんた、アイツと付き合ってるの?

派手系ガールは比較的モテてたのが災いする
地味系男子は意識しなかったことが災いする
だからあっけなく消滅する

「あんなオタク、私が相手にするわけないじゃん」

という話声を聞いて、上巻は終わる

これまで仲良く話していたけど、世間の目が集中し始めて、関係性を一歩前進しにくくなったという感じだろうか。あるいは言葉を真に受けて離れるという選択をとるか・・・

文脈からして離れるわけだが、誰かに対する気持ちなんてその程度かとも思ってしまう。結局恋愛なんて集団意識の中で勝手に増殖して、自分自身の恋愛感情とは裏腹に、周辺があれこれ影響を及ぼしてしまう典型的な例だろう

似たようなことを口走った記憶はあるね
お前、アイツと付き合ってるの?
まさか、ただの友達だよ

それがショックを与えていた可能性も・・・
あるのかな?

でもリスクあるよね
自分の彼女と思われることで、
あるいは自分の彼氏と思われることで、
誰かの所有物だから手を出せなくなる謎の現象

所有物って・・・モノかよ

誰かと繋がることで、誰かの影響力が効いてしまう例はある
羞恥心もあるかもだけど、公にアピールしにくいだろう

だから恋愛は面倒臭い
厳密に言えば、周辺事情が面倒臭い
2人だけで勝手にすればラクなのにね

恋心が分からないなりに楽しめた
自分に当てはめて、参考になったかと聞かれると微妙だけど、青春で恋愛という王道なんだろう

 

下巻
そして、卒業…下巻の感想
ネタバレに注意


読み終えて知った
卒業って“そっち”の方面も?

上巻が嫌に中途半端に終わって、ちょうど下巻発売という情報を入手して本屋で探す。人気作品らしく品切れは無かったので安心した

上巻が微妙なすれ違いで終わり、かつ高校三年生の受験シーズンでセンター試験だとか大学入試に追われ、予備校に自由通学の状況と接点のない状況下で、どう関係性を修復させる気だろうと思っていたら、ギャルゲー(エロゲ?)で極めたエア百戦錬磨と思えるガチヲタの親友のアドバイスから誤解は解けるというまさかの流れ

いや、定番と言えば定番の流れではあるか?

しかし状況は変わらず
受験シーズンって時になんで勉強以外で悶々としているんだという冷ややかな読者目線は続いてしまう。世間ではこういうのをムズキュンって言うんだろうが、まどろっこしいのは嫌いな性格なので、なにモタモタしてんだよ!という気持ちを隠し切れず、本を持つ手にも力が入る

状況としては気持ち誤解をしたまま本人に確認をせず、二学期の終業式から接触、接点がいきなりゼロになる。地味系男子は携帯を持っていないという設定があるため、連絡手段というものがない。つまり、受験シーズンの自由登校日、学校での接触が無ければ会話をするタイミングが無いに等しい。皮肉にも派手系ガールに憧れている別生徒のモブが学校に変な噂を流しており、盗撮疑惑が蔓延している状況。唯一会話ができるであろう空間はあまり気乗りしない空間であるため、登校しなくていいのなら登校したくないのも分からなくもない

それでもバレンタインに合わせて待ち伏せとかして会話するタイミングを伺ってはいる派手系ガールだけれど、後輩の女の子に先を越されてしまうというアクシデントが発生し、接触することには成功したもののコレといった会話は出来ずに終了

そこで会話を続けなかったというのは仕方ないだろう

地味系男子は接点を無くそうと思うあまりに山形の大学を受験するという思い切った行動に。誤解をそのままにして、さっさと高校生活を終わらせ、地元から離れるというのは、思い切りが良すぎるというか、現実逃避か?とか思ってしまう。しかし大学は何処を選ぶにしろ通いにくいのが大半で、それっぽい状況にそれっぽい理由が考えられてしまうからそう見えてしまうのかもしれない

遠くの大学に行く、という気持ちを押したのは同じ部活をしてる武闘派ガール(秀才)で、難関大学の経済学部を受験し、会計士を目指すそうだ。文系進んで食いっぱぐれないのであれば士業に就くのが良いという考えらしい。志をキッチリ固めているっていいねぇ、惚れそうだよ

そうそう、
下巻からキャラの立ち絵が追加されている

地味系男子に
派手系ガールとその親友
武闘派ガールの4人

パッと見、ギャルゲか?と思ってしまう
ガチヲタの立ち絵が無いじゃないか!
というのが個人的な意見

イラストレーターは初音ミクの募金絵で有名な人

話を戻そう
大学受験は無事に終了
山形の大学に合格
ガチヲタの友人は早々に浪人決定
しかし1つ年下の彼女と一緒に受験するという気持ちがあって何故か元気

卒業後の謝恩会?同窓会?に参加して、帰宅時にまさかの遭遇。誤解を解きつつ、明日から山形に引っ越すという状況の報告。今更連絡先は…別にいいよね?という状況で終わるかと思いきや、そこで告白。遠距離決定という感じで、本編は終了

エピローグについては感想を控えよう
冒頭でも言った通り、そっちも卒業したのかってことで
オカモトにサガミのワードが出てくるとは

今時の高校生、18歳はメーカーまで気にするのか

さてさて、まあいい感じにハッピーエンドってことだろう
誤解も解け、変な噂を流したモブは同級生のイケメンに特定されて存分にシメられたという話もあるが、少女漫画ほどではないにしても、なかなか濃密な人間関係を描いた恋愛小説だった

気持ちキラキラの中高生の時に読んでいたら気持ちが変わってたかもしれないが、アラサーの今じゃ物語のその先が問題になってくる

ハッピーエンド、とは言ったものの、エンドなのは物語であって、人生考えたらそこからがスタート。大学入ってからが大変になる。自分の人生思い返すと痛いことばっかりで、自分を維持するので精一杯だったから恋愛事情に対して一生懸命になれなかったし、勉強に対しても強い志は無かった

薬学部6年はキツイよ
6年で終われば良い方だけど
進級だってラクじゃないし、
実習あるしレポートあるし、テストは意味不明だし
履修漏れとか出てくるし、休みという休みを遊びに思い切り使用できるなんて、成績上位者かつ体力とお金がある一部の人だけ

自分より出来てた人が消えていったのを知ってるし、自分にすら及ばなかった人だって多い。大学入って初めて付き合った彼女も消えていったうちの一人だ
恋愛っていう気持ちを持つより、友達のままでいた方が付き合いとしてはダメージ少なめで良かったのかもしれない
まあ、今となって思うことではあるけれど

理想に理想を重ねた、キラキラした大学生活だったら
大学に行ってテキトーに講義受けて
サークル行ったりバイトに専念して
長期休暇で稼いだお金を使って遊ぶ

なんだろうけど、

講義に出席は厳しいし、課題は出るし、提出締め切り指定が厳しいし、実習が終わる時間は不明でバイトとの掛け持ちは年々厳しくなるし、休みという休みはテストやらレポートで潰されるのが大半で、テストが終わったら飲みに行こうとか誘われるも、テスト結果に影響してドタキャンが相次いだり気持ち通夜みたいな空気になったり、進級状況によって飲みに行くメンバーまで減ったり、サークルも幽霊部員を多く抱えて活動に影響が出たり、

第一優先を勉強面にしたとして、
バイト、サークル、遊び、恋愛

順番を決めろ、ってなると難しい
第一優先に勉強を置いても進級するってのが大変だから、進級こそできたとしても代償として関係性に亀裂が生じる可能性は大いになるし、恋愛事情を持ち込んだことでサークルクラッシャーなんてこともあるしあったし、部員は減るしで大変だった…

周辺事情に無責任になれば、あるいは
独り善がりになれないと恋愛は楽しくない

のかもしれない

酒飲み仲間とか
カラオケ仲間程度で居た方が現実的

出来る人は出来るかもだけど、
出来た人を見たことないし、
恵まれてる環境が無いと無理なら、
それはもう居ないのと同じ

だからキラキラした目で見れない
読めない

だからこそ、非現実的で、
理想にフィクションに憧れてしまうのかもしれない

今の人生もそんなに悪くないから
それはそれで